マタニティピラティスのメリットをエビデンスを基に解説!

マタニティピラティス

【妊娠中に運動をしたいけどどんなメリットがあるの?】
【そもそも妊娠中に運動をしても大丈夫なの?】

妊娠中の運動、特にピラティスには多くのメリットがあります。ただ、妊娠中だからこそ注意も必要です。
この記事では妊娠中の運動に関する疑問や不安を解消するために、エビデンス(科学的根拠)に基づいて解説します。

この記事を読んで不安をなくして、安心して妊娠中の運動をはじめていきましょう。
大切な時期ですので、くれぐれも無理をせず正しい知識をつけて
マタニティライフを楽しんでくださいね。

目次

この記事の監修者

原田浩史:理学療法士・ピラティスインストラクター

【プロフィール】
ピラティスパーソナルトレーニングふたつき代表
病院などで13年間リハビリテーションに従事した後、姿勢の重要性を痛感して姿勢を改善して悩みの解決を図るスタジオを開業した。
【事業内容】
スタジオ運営、オンラインサロン運営、企業の健康経営支援、小学生のピラティス教室運営、学童・保育園への出張講義
【業績】
リハビリテーション書籍執筆・学会報告・論文執筆
NHK、明石ケーブルテレビ、神戸新聞などメディア実績あり

マタニティピラティスのメリットとは?

妊娠中にピラティスをすればよさそう
この記事を読んでくれているあなたは、なんとなくそんなイメージがあるのではないでしょうか。

お腹が大きくなって姿勢が変わる
靭帯が緩んで関節が不安定になる
妊娠中運動不足になっている

このような理由から、ゆったりとした動きでインナーマッスルを刺激するピラティスは
妊娠中にメリットがたくさんありそうだと思いますよね。

ただ、本当に科学的に証明されているのか
ピラティスをするうえで気を付けるべきことは何なのか

このようなことを、エビデンスに基づいて順番に解説していきます。
ピラティスに限らず一般的な、妊娠中の運動に関するメリットや注意点を解説したうえで
なぜ、ピラティスがオススメなのか、ということを解説していきます。

専門的な内容が含まれていますので、少し難しいところもあるかと思いますが
安心して妊娠中に運動をするための大切な話ですので是非お読みください!

ピラティスとは?

まずはじめに、ピラティスってなんなの?
という方もおられると思いますので、ここでは簡潔にピラティスとは何か、を説明させていただきます。

ピラティスとは、身体をイメージ通りに動かせるようになるためのエクササイズ
全身を使った安全な有酸素運動です。

他のトレーニングに比べると、インナーマッスルや背骨の動き(体幹)に特に効果的なトレーニングなので、肩こりや腰痛、尿漏れ、姿勢の改善に特に効果的だと言われています。

画像のように器具を用いたピラティスが一般的だと思われるかも分かりませんが
マットで行うピラティスも同様の効果が得られますので、マットさえあれば自宅で行うことも可能です。

特に妊娠中や産後は頻回にスタジオに通うことが難しいと思いますので
習った動きを自宅でもできるマットでのピラティスがオススメです。

詳しくピラティスについて知りたい方はこちらの記事で解説しています。

筋力の向上

ピラティスでは全身を効率よくトレーニングすることが可能です。マッチョになりたい人には不十分な負荷ですが、ご自身の体重を効率よくコントロールする筋力を鍛えることができます。また、ピラティスの特長的なところは、インナーマッスルの強化を主な目的とすることです。いわゆる体幹、といわれる身体の中心部を鍛えることで身体の軸が安定して、生活上でも安定して動作をすることができるようになります。また、体幹部分を鍛えることで内臓を持ち上げるような働きが得られ、ポッコリしたお腹をなくしていくことも期待できます。

柔軟性の向上

柔軟性が向上することもピラティスの大きな効果のひとつです。手足だけでなく、背骨周りの筋肉の柔軟性も改善し、しなやかに滑らかに動く身体作りが可能です。立った状態で前屈して床に手が届かなかった方も、ピラティスを続けることで床に手が届くようになったり、嬉しい変化がみられます。

姿勢の改善

ピラティスでは常に姿勢を意識した状態でエクササイズを行います。このことによって、いい姿勢とは?という意識が常に働き、日常生活のなかでも姿勢を意識して動作が行えるようになります。また、エクササイズを通して向上する、インナーマッスルの筋力、柔軟性が良い姿勢を保持するための助けとなります。

妊娠中に運動をする身体的なメリット

ここではピラティスに限らず、妊娠中に運動をすることのメリットを解説していきます。
ピラティスも立派な運動ですので、ここで紹介するメリットはそのままピラティスをすることによっても得られると理解してもらって問題ありません。
このところ、ピラティスに限った調査報告も増えてきていますので、後半ではピラティスをしたことでどんなメリットがあったのか、というエビデンスも紹介させていただきます。
結構なボリュームですが、これを読んでもらえたら妊娠中に運動をすることのメリットを理解してもらうことができます!

尿漏れの予防・改善

妊娠中に起こるトラブルの1つ、腹圧性尿失禁(尿漏れ)
多くの妊婦さんを悩ます尿漏れを予防・改善できることが研究で報告されています。

尿漏れが起こる頻度

妊娠中の腹圧性尿失禁有病率は60%にも及び、在胎期間が進むにつれて増加する(Sangsawang,B 2013)

妊娠中、尿漏れに悩まされる妊婦さんは60%にも及ぶ、ということが研究で分かっています。

【私だけだったらどうしよう】

そのように心配されていた妊婦さんもいるかと思います。
人に相談しにくいことですし、相談できずに辛い想いをしていた方もいるかと思います。

でも安心してください。
妊娠中に尿漏れが起きてしまうのは、赤ちゃんを産むために身体が変化している証拠で
決して珍しいことではありません。

また、赤ちゃんを産むと骨盤底筋群(排尿を制御する筋肉)がほぼ100%損傷されますので
出産後もこのような症状が起こることが多々あります。

まず、悩んでいるのは自分1人じゃないことを知って、不安な気持ちを和らげてください。

妊娠中の尿漏れを改善する方法

出産前の骨盤底筋トレーニングによって、妊娠中および産後の尿漏れ症状の発症率を減少
妊娠中、産後の尿漏れ症状の重症度を軽減する効果があった。(Margie H 2018)

これはかなり信頼性の高い報告ですので、信頼してもらって大丈夫です。

妊婦さんを悩ます尿漏れ症状は、骨盤底筋という筋肉を鍛えることによって改善できることが報告されています。

骨盤底筋のトレーニングは難しいものではなく、妊娠中でも安全に簡単に行えるものです。

咳をすることもできない、笑うことも心配
私のスタジオにもそのような悩みを抱えて相談してくれる方がいます。

生活に支障をきたすこの症状も、正しいトレーニングによって改善することができますのでご安心ください。

骨盤底筋とは?

骨盤底筋ってよく聞くけど、なにか分からない
という方のために簡単に説明をさせていただきます。

私たちのお腹にはいわゆる腹筋と言われる腹直筋の下に、身体を安定させるためのインナーマッスルが存在します。

前後は腹横筋という筋肉と、背中側は多裂筋という筋肉が身体を安定させるために働いています。
上は横隔膜という呼吸に関する筋肉
そして、下側を骨盤底筋という筋肉が支えています。

骨盤底筋の働きとしては、内臓を下から支える他に
皆さまがイメージがされている、排尿や排便をコントロールする働きがあります。

この骨盤底筋は赤ちゃんがお腹のなかで大きくなる時にダメージを受けるだけでなく
出産の時に通常耐えられる以上に引き伸ばされることで、筋肉が損傷されることが分かっています。

この骨盤底筋のダメージが産前産後の腹圧性尿失禁に深く関係しています。

腰痛の予防・改善

妊婦のおよそ70%が腰痛を経験する (諸家報告)

妊娠中の腰痛は多くの妊婦さんを悩ます症状の一つです。
実に7割もの妊婦さんが妊娠中に腰痛を経験するということが分かっています。
さらに問題なのが、妊娠中に腰痛があった妊婦さんは出産後3年経過しても20%が腰痛に悩まされていることが報告されています。

妊娠中に腰痛を患っていた妊婦の20%が産後3年経過しても腰痛が継続する (Lotta Norén 2002)

産後は身体がまだ不安定な状態にも関わらず、慣れない育児がすぐにはじまります。
初めは抱っこも余計な力が入ったり、よくない抱っこの方法で腰に負担をかけたり

おむつの交換も良くない姿勢で行ってしまうと、前かがみで腰に大きな負担をかけることになって
産後の腰痛がなかなか改善されずに悩む方も多くいらっしゃいます。

妊娠中の腰痛の原因

ここでは詳しい解説は避けますが、産前産後の腰痛の原因は大きく分けて2つ。

1つは骨盤の不安定性によるもの。
出産に向けて妊婦さんの体は人体を緩めようとリラキシンというホルモンが分泌されます。
体は不安定になるのに、お腹は大きくなる
不安定な体のまま、慣れない抱っこや前かがみでのおむつ替えなど
育児によって負担がかかることが原因です。

もう1つの原因は重心の変化です。
おなかが大きくなることで重心位置が変わって反り腰姿勢になることで
背中や腰、お尻など広い範囲に腰痛を生じさせます。

産前産後腰痛にはピラティスがおすすめ

インナーマッスルいわゆる体幹を鍛えて安定させて
姿勢の変化を目指すにはピラティスが非常に有効なアプローチの1つであるといわれています。

ピラティスは後で解説する妊婦さんに勧められる運動の条件を満たしているので
安心して妊娠中に取り組むことができます。

血圧・血糖値の改善

妊婦高血圧、妊婦糖尿病これらもかなりメジャーなトラブルで多くの妊婦さんがなやまされるものです。
これらを予防するためには妊娠中の運動が効果的であることが、報告されています。

妊娠中の継続した有酸素運動は、自然早産率を上昇させることなく妊娠糖尿病、妊娠高血圧、帝王切開の発症率を減少させた。(Di Mascio 2016)

運動したから早産になるという訳ではなく、高血圧や糖尿病、さらには帝王切開の確率を減少させるということが報告されています。

これだけでも妊婦さんに運動を勧めた方が良いことが分かりますね。
妊娠中は適度な運動で高血圧や糖尿病を予防しましょう。

分娩に関するメリット

妊娠中の運動は母体の健康に関するものだけではなく、分娩にも良い影響があることが報告されています。

分娩第一期および総分娩所要時間が有意に減少した。(Barakat R 2018)

要するに、妊娠中に運動をしていると、分娩にかかる時間を短くすることができますよ
ということが報告されています。

誰しも、長い分娩ではなく安産を望むと思いますので
妊娠中に運動をすることは、このようなメリットがあることも知っておいてくださいね。

新生児のサイズに関するメリット

妊娠中に運動をすることで、産まれてくる赤ちゃんの大きさを適切にコントロールすることができることも報告されています。

large for date児の出生を31%減少させるがsmall for date児の出生が増加することはなく、適正な出生体重を目指すのに有効である。(Wiebe HW 2015)

少し難しい書き方になっていますが、4000gを超える赤ちゃんが産まれる率を下げられる一方で、2500gを下回る赤ちゃんが生まれてくる訳ではないですよ。ということが研究で報告されています。

赤ちゃんが大きすぎると母体へのダメージも大きくなってしまいますので、これも覚えておきたい情報ですね。

精神的なメリット

妊娠中、産後はママのメンタルが不安定になりやすく、産後うつに悩まされる人も少なくありません。
妊娠中の運動は精神面にも良い影響があるのか、こちらもエビデンスがありますので紹介させていただきます。

妊娠から産後の有酸素運動は、周産期うつ病の発症や症状の軽減に有効である(Chenxi Cai 2022他)

運動によって、精神を安定させるホルモンが分泌されることが分かっていますので、妊娠中も適度な運動で精神的な安定を図っていただきたいと思っています。

妊娠中の運動はメリットがいっぱい

なんとなく運動が良いことはしっていたけど、こんなにも運動のメリットがあったのか
と思われたのではないでしょうか。

妊娠中の運動はとても多くのメリットがあります。
快適にマタニティライフを楽しんでもらいたので、妊婦さんには運動を勧めたいのですが
運動を勧めてよい条件、というのがあります。

ここからは妊娠中に運動を勧める際の注意点などを解説していきます。

妊娠中に運動をしていい条件

こちらは私がセミナーで使用しているスライドです。

メリットがたくさんある妊娠中の運動も、運動をしていい条件というものがあるので注意が必要です。

これまでの妊娠に早産や、流産を繰り返されている方は運動はするべきでなく、無理を避けることが最も大切だと考えています。

また、胎児の発育に異常がないことも条件となりますので
この図をよく見て、自分が運動をしてよいのかどうか
考えて、よく主治医の先生と相談をして運動を始めてください。

特に誤解されやすいのが、双子の妊娠中です。
双子の妊娠中は運動をしてはいけないとされていますので、よく注意をしておいてくださいね。

運動を始める時期に関しては12週以降とされていますが
一般的に安定期に入るのが妊娠16週あたりなので
特別に早く運動を始めなければいけない理由がなければ
妊娠16週頃の妊婦検診で先生と相談をしたうえで始めるのが安心かと思います。

妊娠中にしていい運動

こちらもセミナーの資料から引用しています。

妊娠中にしてよい運動は赤ちゃんに負担をかけないような運動です。

どのようなものかというと
安全な有酸素運動で全身を使って長く続けられるもの。

運動の強度としては「ややきつい」と感じるものが勧められています。

この条件を見ていると、ピラティスやヨガがぴったり当てはまることがわかるかと思います。

くれぐれもタイムを競うような運動や
強くいきまないとできないような運動は避けるようにしてください。

妊娠中にピラティスがおすすめな理由

ここまで読んでくださった方は、妊娠中にピラティスが良い、ということがご理解いただけたのではないかと思います。

このところピラティスが注目を集めるようになり、ピラティスに限定して妊娠中のメリットを調査した報告もみられるようになってきました。

分娩加速期および第2期の時間が有意に短縮し、陣痛の痛みの感じ方も少なく、分娩に関する満足度が有意に高かった(Ghandali NY 2021)

この研究では、妊娠中にピラティスを行った結果、分娩の時間を短縮できることや、分娩に関する満足度が高かったことが報告されています。

さらに、妊娠中のピラティスに関する複数の論文をまとめたものでは以下のようにまとめられています。

ピラティスは妊娠中の安全な活動であり、さまざまな健康上のメリットをもたらす(Tatyana 2024)

このように、私は根拠をもって、妊娠中にピラティスがおすすめだと自信をもって勧めています。

安全な有酸素運動で全身運動で、姿勢の変化にも対応できて
インナーマッスルを使うので尿漏れにも効果が期待できるピラティス

妊娠中や産後に是非取り組んでみてはいかがでしょうか。

安心してピラティスを受けるには

安心して妊娠期間中にピラティスを受けるために大切なことが2つあります。

1つ目は医師と相談をすること
血圧や血糖、妊娠の状態や胎児の発育状況
このようなことに問題がないうえで妊娠中の運動に取り組むことが大切ですので
よく産科の先生と相談をしたうえで、運動の種目や頻度、そもそも運動をして良いのか
ということを確認してから運動を始めるようにしてください。
くれぐれも独自の判断で運動を始めることはやめておいてください。

2つめは安心して任せられる施設を探すこと
妊娠中の運動自体に特別な手技があるわけではありませんが
妊娠中だからこそ注意しなければいけないことがたくさんあります。
そのようなことを正しく理解して、妊婦の方へのトレーニングを提供している実績がある
スタジオを選ぶことが大切です。
まだ妊婦の方が安心してエクササイズを受けられるスタジオは多くありませんが
気になっているスタジオに「妊娠中の方へのエクササイズ提供実績はありますか」
と問い合わせてもらうと良いと思います。
リスクの高い時期ですので、嘘をついて通ってもらおうというようなスタジオは
ないと思いますので、はっきり聞いて安心できる回答をもらってから
体験に行かれることをオススメします。

理学療法士が運営するピラティスパーソナルトレーニングふたつき

当スタジオでは理学療法士が身体の悩みを解決するためのトレーニングを提供しています。

産前だけでなく、産後のお悩みを抱えた方へのトレーニングも経験しておりますし
専門職向けの産前産後アプローチセミナーも医師と協働して開催しました。

兵庫県明石市にあるスタジオですが、オンラインでのマンツーマントレーニングも対応が可能ですので
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最後に

妊娠中、出産後に運動が良いことはよく理解してもらえたかと思います。

私は、妊娠中や産後のママが笑顔で子育てを楽しめるようにサポートしたいと考えています。
楽しみにしていたママとして始まる新たな生活
人生を大きく変えるライフイベント、それが妊娠だと思っています。

身体が痛くて、思い描いていた理想とはかけ離れた辛い子育てにならないよう
多くの妊婦さんが運動の恩恵を受けられることを願っています。

妊娠中、産後の悩みを解決するために
安心して運動を始めるために、信頼できるスタジオが見つかるといいですね。

お悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

ピラティスパーソナルトレーニングふたつき
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